世界の市場の成長性

 こんばんは、ヤギ仙人です。アメリカはやや景気後退の兆候を見せていますが、世界の株式市場は中長期的にどのように成長していくのでしょうか。今回は過去30年の推移と現在の状況から今後を占うことにします。

長期的推移と過去30年のリターン

 まずは長期的な推移から見て行きましょう。

 このグラフは、クレディ・スイスが数年に一度発表する「Global Investment Returns Yearbook2023」に掲載された1899年から2023年までの世界各国の株式時価総額比率の推移です。このブログでも過去に何回か登場していますね。これを見ると、大きな流れは100年ぐらい変わらないことがわかります。

 ちなみにこちらが1899年と2023年の時価総額の構成比です。イギリスの衰退とアメリカの隆盛がひと目でわかります。投資をするなら、まずは100年単位で経済の動きを捉えてみて下さい

 そして、ジャンルごとの30年平均リターンがこちら。

 ここ30年は米国株のひとり勝ちだったことがわかります。先進国株式と全世界株式も健闘していますが、これは米国株の比率が高いのがその理由です。それに比べて日本株のリターンの低さはもう目も当てられません。長期的推移も考え合わせると、ちょっとやそっとじゃ米国株の勢いは変わらないことが容易に想像できると思います。以上が前提。

4つの国の今後を検討

 その上で、たいへん恣意的ではありますが 日本、米国、中国、インドの4つの国を、①人口、②GDP成長率、③時価総額シェア、④定性分析の4つの観点から検討してみます。

日 本
  • ① 人    口 : 1億2,435万人
  • ② G D P 成長率 : +1.7%
  • ③ 時価総額シェア:  6.3%

   ④ 定 性 分 析 : ☁☂

→数値だけ見るとそれほど悪くないように見えます。しかし、人口は内閣府によると2048年には1億人を割り込むと予測されています。GDPもドイツに抜かれて4位に転落しました。つまり、国内市場はどうあっても縮小傾向ということになります。その反面、TSMC(台湾の半導体受託製造メーカー)の熊本進出という良いニュースもありました。今後は、世界を主導する産業を創出できるか、このまま世界の部品工場になるか、選択を迫られることになりそうです。

米 国
  • ① 人    口 : 3億3,300万人
  • ② G D P 成長率 : +2.5%
  • ③ 時価総額シェア: 58.4%

   ④ 定 性 分 析 : ☀☁

→データ的には、まさに成熟期を迎えた感があります。世界の潮流を作る企業が次々に生まれ、マグニフィセント・セブン(株式市場をけん引する主要テクノロジー企業7社)の時価総額シェアはS&P500の31%を占めるほど。人口も、自然増と移民によりゆるやかに増加する傾向です。懸念点は、ファンダメンタルズに景気後退の兆候が出始めていること。だから利下げをしているワケですが、これがハードランディングになると調整を余儀なくされる恐れもあります。

中 国
  • ① 人    口 : 14億900万人
  • ② G D P 成長率 : +5.2%
  • ③ 時価総額シェア:  3.7%

   ④ 定 性 分 析 : ☂☁

→以前から懸念されていた不動産バブルの崩壊で株価は低迷中です。この9月末に金利の引き下げや住宅購入インセンティブ拡大等の景気刺激策が発表され、株価はやや持ち直しました。しかし、それも恐らく「焼け石に水」でしょう。株価がいつ本格的に回復するかは、全くわからない状態が続いています。そんな中、電気自動車メーカーのBYDのような技術的にも国際的な競争力のある企業が登場するところが中国の底力という印象です。

インド
  • ① 人    口 : 14億1,700万人
  • ② G D P 成長率 : +8.2%
  • ③ 時価総額シェア:  1.8%

   ④ 定 性 分 析  

いま最も勢いのある国です。人口は、2023年半ばに中国を抜いて世界一に。国民の平均年齢も28.6歳と若い(日本は41.4歳)。GDP成長率も+8.2%と飛ぶ鳥を落とす勢いです。タタ・モーターズなど、自国の企業も着々と成長しています。それでも、時価総額シェアは1.8%と低い状態。これを伸びしろと見るか、影響力が低いと見るか。政治的にも、経済を重視するモディ首相の続投が決定し不安要素が少ない状態です。

今後の投資にどう活かすか?

 これら4か国の代表的な市場の動きを直近10年で比較グラフにしてみました。市場は、日本が日経平均、米国がS&P500、中国が上海総合指数、インドがムンバイSENSEX30です。

 概ね前章で分析した通りの動きとなっているように思います。健闘しているのが日経平均で、この10年で切り取るとS&P500と遜色ありません。これには理由があり、中国株の下落を嫌った投資家が資金の避難先として比較的業績が安定している日本株を選んだためと言われています。

 では、ここまでの分析を今後の投資にどう生かすか、です。主に以下の3点だと思います。

今後の投資にどう生かすか?
  • 基本は時価総額シェアと同期させること
  • 投資信託をトッピングするなら好調な市場を
  • 個別株を買うなら好調な市場から

✔基本は時価総額シェアと同期させること

 基本的な考え方は、世界各国の時価総額シェアと自分の金融資産の国別シェアを同期させることです。米国株のシェアが6割なら自分の資産の米国株のシェアも6割といった具合です。そんな面倒な、と思うかもしれませんが、全世界株式の投資信託の基本思想はコレです。

投資信託をトッピングするなら好調な市場を

 その上で、好調な市場をトッピングする。例えば、メインの資産が全世界株式の投資信託だとしたら、米国株のS&P500やインド株のインデックスファンドを追加で購入する、といった対応です。あくまでもトッピングですから、全体の10%以内にするのがミソです。

個別株を買うなら好調な市場から

 そして、もし個別株を買うなら好調な市場からにするのが良いと思います。株価は市場全体の動きに連動しますから、好調な市場の株は上がりやすいからです。但し、インド株は現段階で直接個別株を購入することは出来ませんので、制度が整うのを待ちましょう。

 今回は「世界の市場の成長性」をテーマにお送りしました。大事なのはなるべく長期スパンで物事を捉えることだと思います。ではまた!

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