こんばんは、ヤギ仙人です。いまや投資信託でも個別株でも投資対象の中心となった米国株。日本での取引は意外と歴史が浅く、ネット証券で扱われ始めたのは1999年12月の楽天証券を皮切りに2000年代に入ってからでした。その高いリターンは魅力的ですが、米国株も外国株式であることに変わりはありません。そこで今回は、米国株を取引する時の注意点を説明します。
米国株の魅力とは?
米国株の魅力は何といっても、その「リターンの高さ」にあります。
アメリカの代表的な株価指数S&P500の長期チャートを見ても、その力強さを感じられます。いまや世界の株価をけん引する巨大企業が目白押しで、30年平均リターンは11.9%。もし30年前に米国株に100万円を投資したとすると、現在2,917万円になる計算です。
左のグラフはクレディ・スイスが数年に一度発表する「Global Investment Returns Yearbook2023」からのものです。米国株は時価総額で世界全体の約6割を占めるまでになっています。
しかも、エヌビディアのように次の世界の潮流を作る企業が次々に生まれていることも米国つまりは米国株の強みであり魅力であると言えると思います。
商品別の難易度と注意点
米国株に投資する時の商品別の難易度は以下の通りです。それぞれ商品別の注意点をお伝えします。
投資信託
ETF
個別株
投資信託は比較的リスクの少ない商品ですので、注意点もあまり多くありません。
- 為替リスクがあることを理解する
投資信託を購入した段階から為替が円高に振れれば、円建てでの資産価値は減少してしまいます。ただし、投資信託の場合は積立投資をすることで為替リスクをある程度緩和することが出来るので、あまり気にする必要はありません。なぜなら積立投資は「ドル・コスト平均法」という、株価や為替の変動の影響を少なくする投資手法だからです。
投資信託の仕組みに関しては、以前に書いた「ヤギでもわかる投資信託」でも触れていますのでそちらをご参照下さい。米国株の投資信託はNISAの主力商品であるだけに、信託報酬0.1%以内で使い勝手のよいファンドが増えてきています。
ETFは、Exchange Traded Fundsの略で「上場投資信託」のことです。要するに、「市場で取引できる投資信託」という意味です。市場で取引できるので新たに以下の点に注意して下さい。
- 為替リスクがあることを理解する
- 米国株の取引時間をしっかり認識する
米国株の取引できる時間は以下の通りです。
アメリカは夏時間と冬時間があり、夏時間は11月の第1日曜日までです。それにしても、この時間にまともに取引していたら昼夜逆転してしまいます。ネット証券の株式やETFを定期的に買い付ける仕組み(楽天証券の「積立設定」、SBI証券の「定期買付」等)を上手く活用しましょう。
銘柄選択に関しては、以前のブログ「ETFをどう活用するか?」で主要なETFを紹介していますので参考にしてみて下さい。
個別株の取引は、3つの中では最もリスクの高い取引になります。そのため、今までの2点に加えて新たに以下の点に注意して下さい。
- 為替リスクがあることを理解する
- 米国株の取引時間をしっかり認識する
- 投資資金の10%以内に上限を定める
個別株は投資信託やETFに比べてハイリスク・ハイリターン、つまり値動きが激しくなります。これに加えて、アメリカの企業である分、事業環境や業績の変化の情報に触れづらい面が当然あります。個別株を取引する場合は、投資資金の10%以内に上限を定め、リスクを取り過ぎないことが肝要になります。
個人的には、投資の初級・中級者は投資信託やETFを中心に取引し、個別株には手を出さないことを推奨します。
その他の気をつけるポイント
米国株の場合、譲渡所得の税率は日本と変わりませんが、ETFの分配金・個別株の配当が以下の通り二重課税になります。
確定申告を行えば、ある程度二重課税分を取り戻すことが出来ますが、手続きが煩瑣なため筆者もほったらかしにしているのが正直なところです。なお、NISA口座では日本での20.315%が非課税になりますが米国側の10%は課税されます。
投資信託の場合、分配金・配当は再投資されるか二重課税調整制度が適用されるため、二重課税を心配する必要はありません。
・投資信託、ETFをインデックス運用している場合
この場合はいずれかの株式指標に連動した投資信託あるいはETFを積立投資しているということですから、まったく問題ありません。気にせずそのまま積立投資を続けて下さい。インデックス運用とは、相場が良い時も悪い時も淡々と積立を続けるものです。
・個別株をアクティブ運用している場合
この場合は対応を検討する必要があります。市場の下落の原因が、保有する個別株にも影響が大きく長期に及ぶ恐れのある場合は売却を検討しましょう。但し、現在の米国株は日本株ほど値動きが激しくありません。企業のファンダメンタルズ(売上高や利益といった経済の基礎的条件)に変更がなければ様子見することも選択肢に加えましょう。
今回は「米国株を取引する時の注意点」をお伝えしました。米国株の動きで気になる点があればまた伝えします。ではまた!