FIREは手段であって目的ではないが•••

 こんばんは、ヤギ仙人です🐐。FIREに関する議論でいつも欠けているのが「FIREは手段であって目的ではない」という点です。特に30代など早期にFIREする際にきちんと考えなければいけないポイントだと思います。今回はこの問題について考えてみたいと思います。

FIREは始める年代で2つのタイプに分けられる

 FIREを検討する時に起こりがちなのが、「金銭的にやって行けるのか」が先にきてしまって「何をやるか」が後回しになる問題です。筆者もややそういう部分がありました。幸い、以前から資産運用に関するブログを始めていて、映像制作も含めて発信していきたいという思いがありましたので、やるべきことはすぐに見つかりましたが。

 考えてみると、FIREには始める年代によって2つのタイプがあるように思います。

FIREの年代別2タイプ

仕事のリタイアを少し早めるタイプ(50代からのスタート)

働き盛りで会社を飛び出すタイプ(30代、40代からのスタート)

 この内は大きな問題にはなりません。遅かれ早かれ直面する問題であって、それが数年早く来るだけですから。問題は。事前に何をやるかが決まっていれば良いのですが、そうでないなら大きな問題です。

 なぜなら、人間は退屈に耐えられないからです。17世紀フランスの思想家パスカルは退屈に耐えられない人間の性質について次のように述べています。

人間の不幸などというものは、どれも人間が部屋にじっとしていられないがために起こる。部屋でじっとしていればいいのに、そうできない。そのためにわざわざ自分で不幸を招いている。(「暇と退屈の倫理学」國分功一郎著)

 ですので、若い年代でのFIREを目指している方は、FIREした後 何をするか ある程度目処をつけてからFIREすることをおススメします。

それでもFIREを目指すべき理由とは?

 このように、FIREに関しては「手段の目的化」が常態化していると言ってよいのではないかと思います。そうであったとしても、筆者はFIREを目指すことは善いことだと確信しています。その理由は、世の中のあらゆることが「お金の論理」で処理され過ぎていると思うからです。

 現在の「市場経済を前提とした資本主義」は世界を席巻していますが、あくまで社会のあり方の1つに過ぎません。それを当然のものとして捉えてしまうと、人間は思考停止に陥ります。

 それを示す一例がアメリカの映画産業です。実はアメリカの映画産業はここ10年以上、「マトリックス」や「アバター」のような新たな意匠を産み出せていません。筆者も映画業界にいたのでわかるのですが、それにはこんな理由があるのです。

 映画というものは事業である以上、1円単位で収支を計算することが出来ます。製作費もハリウッドであれば軽く100億円を超えてきます。それだけの予算をかける以上、確実に当てることが至上命題になります。そうすると何が起こるか? 人間は前例のない、新たなチャレンジをしなくなるのです。

 GOが出る企画といったら、過去に当たった作品のシリーズかマーベル原作のアメリカンヒーローもの。しかも、以前に実写映画化した原作をリブート(再起動)と称して監督と出演者を変えて焼き直す。スパイダーマンなんて何回見せられんねん!と思わず関西弁になってしまうような体たらくです。物事を「お金の論理」だけで処理すると、このような不毛な事態が起きてしまうのです。

「資本主義」を外側から眺めてみる

 だから、まずは資本主義の強固な歯車の1つである「会社というシステム」からドロップアウトするのは、意味のあることだと思っています。

 過去に例をとれば、古代ギリシャの都市国家が高度な文明を誇ったのは、奴隷の労働によって得られた自由な時間を市民が政治や文化的活動に振り向けたから、と言われています。現代社会にも、時間的な余裕があり組織や立場の制約を受けない自由な階層の人々が一定数必要だと筆者は考えています。

 しかし、今の日本を見ていると 皆さん会社という組織に縛られ過ぎているような気がします。これではまるで「奴隷」ばかりで「市民」が存在しないギリシャの都市国家のようなものです。この状態では、政治は言うに及ばず、文化や産業面で世界をリードすることは到底不可能です。

 FIREが拡がることで、何物にもとらわれずに自由な立場で物事を見て発言できる人が増えれば、現在のいびつな形の資本主義に警鐘を鳴らすことが出来るのではないかと期待しています。これが「手段の目的化」を容認してでも、筆者がFIREを目指すことを勧める理由です。


 今回は「FIREする意味」について考えてみました。最後は少し観念的な話になり過ぎましたね。ではまた!

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