こんばんは、ヤギ仙人です🐐。最近の会社での仕事は生成AIの導入など変化のスピードが速いため、それについて行けないと一気に「老害」扱いされるリスクが高くなります。そんな時どうするか?今回は老害に陥らないための知的スタンスについて考えます。
日本の企業で老害が生まれるメカニズム
先日、日経新聞でまさに「我が意を得たり」というコラムを見つけました。
<日経> 老害防ぐ「初心者」の気構え 川崎裕一氏(7月31日)
エンジェル投資家の川崎裕一氏が書いたコラムで、とても良い内容なのでぜひご一読下さい。時間のない人のために内容をまとめると、
・老害とは加齢ではなく「再び初心者になるコスト」を払うことを拒否した人の別称
・会社では実績が役職や権限となるが、それが大きくなると新たな挑戦はリスクになる
・挑戦して失敗すれば減点され、そのインセンティブの歪みが個人を老害へと追い込む
・老害扱いされる人は環境の激変で自分のデータベースが劣化した事に気づいていない
・必要なのは過去のデータベースをリセットして「冷や汗をかく体験」を積み重ねる事
と企業で老害が生み出されるメカニズムとその解決法を説明しています。確かに年功序列を背景にした日本企業の組織構造には老害の発生を助長してしまう面があるなあ、と考えさせられました。筆者も勤めていた会社で似たような事例をいくつも見てきましたので、今回は老害に陥らないための知的スタンスについて考えてみたいと思います。
変化のスピードが速い時代に老害にならない秘訣
会社に勤務していた時代を思い起こしてみると、確かに15年ほど前までは長年の現場経験である程度の正解にたどり着けていました。しかし、IT技術の進展など変化のスピードが早くなることで、新たな技術を使いこなしてそれに馴染んでいることが最大の武器になりました。筆者が勤めていたテレビ業界でもそれを象徴する興味深いエピソードがありました。

2015年10月、民放テレビ配信サービスのTVerがスタートしましたが、当初はアクセスが伸び悩んでいました。そこで、会社の新人研修の一環として新入社員に「TVerのアプリをどう改善するか?」というお題を出しました。その中の1つが非常に良く出来ていると話題になったのです。筆者も密かに入手して目を通しましたが、年齢が若くスマホとアプリに馴染んでいる分、有効な改善策を打ち出せていました。
確かにアプリをあまり使っていない人間がいくら頭を捻っても、有効な策が浮かぶはずがありません。それ以来、筆者は新しい技術や新規事業についてはユーザーに一番近い人間を中心に話を聞くようになりました。
そうなると当然、会社で求められる上司のタイプも変わってきます。自分の役職に対するプライドが高過ぎて部下に教えを請えない管理職よりも、「へー、なるほどね。今度教えてよ」と同じ目線の高さで年下の社員と情報のやり取りが出来る管理職の方が、社員のモチベーションも上がるし組織全体としての成果も出しやすくなります。このような上意下達型からフラット型への上司像の変化を彼らが言いそうなことで表現すると以下のようになります。
上意下達型 「仕事というものはこうするものだ」
「最終的には自分が決める」
フラット型 「へー、なるほどね。今度教えてよ」
「これは君の方が詳しいから担当して」
この、いわば「自分が現場の時に得た経験と知識はもはや通用しない」という冷静な諦観こそが、変化のスピードの速い時代に老害に陥らない知的スタンスと考えられるのです。
このスタンスを維持するのは今も昔も難しい
実はこの「自分は肝心なことは何も知らない」という知的スタンスは、それほど新しいものではありません。今から約2500年前、紀元前400年代の古代ギリシアにすでに存在していたのです。そう、世界四大聖人の1人・アテナイのソクラテスです。

彼はアテナイ(現在のアテネ)の名もなき一市民でしたが、「私は、自分が何も知らないということを知っている」と嘯き、アテナイの政治家や賢者といわれる人々に「対話」という名の論戦を仕掛けて、見事に彼らが何も知らないことを明らかにして行きました。その様子に若者たちは拍手喝采を送ったのです。
彼にとって対話は真実に近づくための手段に過ぎなかったのですが、地位も名誉もあって「自分は何事かを知っている」と思い込んでいる者にとっては屈辱以外の何物でもありません。結局、ソクラテスは70歳の時に「アテナイの国家が信じる神々とは異なる神を信じ、若者を堕落させた」という罪状で裁判にかけられ、死刑判決を受けます。
弟子であるプラトンらは逃亡や亡命を勧めましたが、ソクラテスはそれを潔しとせず、自ら毒杯をあおって死んだとされています。「自分は肝心なことは何も知らない」という知的スタンスを保つのが難しいことは、昔も今も変わらないのです。でも、難しいからこそ貴重であるとも言えるのではないでしょうか。
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投資の世界でも、暗号資産やカバード・コールETFなど新たな商品が次々に登場してきます。そんな時に投資歴が長いからといってわかったつもりにならず、投資歴は短くてもよく知っている人に教えを請えるのか?そんなところがその投資家の今後のリターンを分けるのではないかと思います。
今回は老害に陥らないための知的スタンスについてお伝えしました。ではまた!
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