ファインマンのレストラン問題を投資に応用する

 こんばんは、ヤギ仙人です🐐。「ファインマンのレストラン問題」というのをご存知でしょうか?天才物理学者が、旅先でまだ知らないレストランを探すか実績のあるお店を選ぶのかの最適解を解明したものです。実はコレ、株式投資にも応用できるんです。

天才物理学者の50年前のメモがついに解読される

 リチャード・ファインマンは、ノーベル物理学賞を受賞した米国の物理学者です。天才的な頭脳の持ち主で物事に没頭しやすく、物理の議論になると相手がどんな大物であろうと言いたいことをはっきり言う性格でした。その反面、ユーモアといたずら心に溢れ、数々の逸話が回顧録「ご冗談でしょう、ファインマンさん」(岩波現代文庫)に残されています。

 「ファインマンのレストラン問題」は、旅先でたまたま入ったお店が思いのほか美味しかったが今夜もそのお店に行くか他のまだ知らないお店を探すか?そんな日常的な問題を旅行の残り日数を考慮した上で数学的に解き明かしたものです。

 そのきっかけは1970年代のある日の昼食時。ファインマンは友人のラルフ・レイトンとタイ料理店でランチを取ろうとしていました。レイトンがいつものジンジャーチキンにするか新しい料理にするかで悩んでいると、ファインマンはその場で計算を始め、解答を紙切れに書き留めました。

 そのメモはレイトンが大切に保管していましたが、ファインマン独特の走り書きに加え、問題の設定と解法が同時進行で書かれるという独特の構造が解読を阻みました。このほど、英オックスフォード大学やニューヨーク市立大学に所属する研究チームが論文を発表し、およそ50年間解読不能だった「ファインマンのレストラン問題」が解読されるに至ったのです。

ファインマンが導き出したレストラン問題の最適解

 上記の状況を数学の問題として定義すると、「限られた日数での旅行中にN回レストランに行くとする。その時にN回の合計の満足度が最大になる方法を求めよ」ということになります。

 それに対するファインマンの解答は、「最初は高いハードルを設けて様々なお店にトライして良いお店を探し、残り日数が減ってきたらハードルを下げてこれまで見つけた美味しいお店に戻るべし」でした。つまり、残り日数が減るに従ってハードルを徐々に下げるのが数学的に正しい戦略ということになります。

 ファインマンの最適解が示す戦略は確かに私たちの感覚とも一致しています。残り日数が多ければ冒険してなるべく美味しいお店を探したくなるし、旅行の最終日なら新規開拓するよりも今まで食べた中で一番美味しいレストランに行きたいと思うのが人情だからです。

 この状況は「探索と活用のジレンマ」と呼ばれ、未知の選択肢を探すか(探索)、既知の選択肢を選ぶか(活用)が問われる、人間なら誰でも日常的に直面する問題です。「就職活動」「結婚相手選び」などはまさにコレで、限られた期間で決めなければならないことで難しさが増すことになります。


 研究チームは、更に実際の人間が同じ状況でどう行動するかを確かめるために2520人を対象に実験を実施しました。その結果はかなり興味深いものとなりました。

 ファインマンの最適解がカーブを描く非線形のグラフになるのに対し、人間の実験結果は毎回ほぼ同じだけハードルを下げて行く線形のグラフになりました。でも、これで最適解の90%の満足度を達成できていたそうなので、人間の「ドタ勘」も意外と馬鹿にできない、ということのようです。

「レストラン問題」を投資にどう応用するか?

 では、この「ファインマンのレストラン問題」を株式投資にどう応用するか?実はこの最適解を適用することで「株式投資人生でいつまで冒険するのか?」の答えを出すことが出来るのです。試しに設定を以下のように置き換えてみましょう。

・レストラン   → 株式

・旅行の残り日数 → 残りの寿命

 こうすることで、株式投資のライフサイクルの中で新たな株式を「いつまで」「どの程度」試すのか?の答えが出るのです。

 年齢的に若い段階では、様々な株式を試してみるのが戦略として正しいことになります。その中からテンバガー(10倍以上に高騰する株)が出るかもしれません。しかし、年齢が増すと共に(残りの寿命が減ると共に)、これまで確実に利益を上げてきた安定した銘柄に絞って運用すべきなのです。

 寿命という限られた期間を考えると、株式投資も「探索と活用のジレンマ」の一種に違いありません。数学的な根拠をきちんと持っておけば、晩年に無用なリスクを取ることも避けられるのです。


 今回はファインマンのレストラン問題を株式投資にどう応用するかを考えました。ではまた!

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