年を取ったら株式の比率は減らすべきなのか?

 こんばんは、ヤギ仙人です🐐。「年を取ったら株式の比率を減らす。」投資の世界では一般的な考え方と言われていますが、果たして今でも通用するのでしょうか?今回は環境の変化で「投資の常識」も変わって行く、というお話です。

「年を取ったら株式は減らす」は常識?

あるブログでの50代男性の嘆き

 先日、あるブログを見ていたらこんなお話がありました。登場するのは50代で金融資産が億り人手前の男性です。そろそろ老後資金のことを考え始めるタイミングで、要約するとこんなことを嘆いていました。

「60代になったら株式の比率を下げなければいけないが、そうなるとこれまで慣れ親しんだ個別株投資が出来なくなってしまうのが何だか寂しい。」

 確かに年齢が増えるに従って株式の比率を減らすのは、投資の世界では一般的な考え方です。リスク資産の比率は「100ー年齢」にすべし、という公式も存在します。つまり、60歳であれば株式や投資信託、債券といったリスク資産の比率は40%に抑えて、残りの60%を現金や預金、国債などの安全資産で保有するのがよい、という考え方です。

 果たして、この公式は今でも正しいのでしょうか?

この公式の根底にある考え方とは?

 この公式の根底にあるのは「リスク許容度」という考え方です。

 リスク許容度とは、その人の属性に応じて許容できるリスクの限界があるという考え方。例えば、年齢が高いと人生の残り時間が短いので、市場の急落があった時に立て直せないためリスク許容度は低い、というような判断になります。

 確かにその通りなのですが、それがそのまま通用するほど投資の世界は簡単ではありません。

リスク資産を減らすべきでない2つの理由

 通用しない大きな理由は時代の変化です。「人生100年」と言われるほど寿命が伸びている現在、仮に65歳まで仕事を続けたとしてもあと35年は生きなければなりません。その状況を考えると、以下の2つの理由でリスク資産の比率を減らすことは合理的ではなくなります。

❶ リスク資産の比率を減らすと老後資金が足りなくなる

 寿命が伸びれば当然、老後資金も増えます。ファイナンシャルプランナーの山崎俊輔氏によると、寿命が15年伸びると必要な老後資金は1.75倍になるという試算もあります。

 資産の取り崩し戦略である「4%ルール」の根拠となった米トリニティ大学の研究での株式の比率は50%〜100%です。50%未満では試算されていないことを再認識するべきです。

 「100ー年齢」までリスク資産を減らしてしまっては、寿命が伸びた老後の生活費を賄い切れない可能性が高いのです。

❷ 長期的に見れば株式は安定したリターンを生み出す

 左はジェレミー・シーゲル著「株式投資 第6版 長期投資で成功するための完全ガイド」からのグラフです。1802年から2021年までの220年間で見ると、株式は細かい凹凸はあるものの、インフレ調整後で年率6.9%という安定したリターンであることがわかります。

 問題はこの凹凸にどう対処するかであって、これが解決できればリスク資産の比率は下げる必要がないのです。

リスク資産を減らさないための3つの条件

 以上の点を考慮すると、市場の急落に対応できるようなリスクヘッジが出来ていれば年齢とともにリスク資産を下げる必要はないという結論に至ります。その条件となるリスクヘッジは以下の3点です。

リスク資産を減らさないための3つの条件
  • 投資対象がしっかり分散されていること
  • 個別銘柄の比率を極端に高くしないこと
  • 当面の生活費を賄う現金比率があること

 どれも投資の基本のような条件ですね。中でも「現金比率」は仕事を辞めた後に重要になります。定期的なキャッシュインがなくなるので、1年分の生活費は現金比率として確保しておきたいところです。

 この3つが実現できていれば、リスク資産の割合を年齢に合わせて少なくする必要もないし、個別株投資をやめる必要もありません。分散という意味では「オールカントリーの投資信託(オルカン)」は最強で、文字通り全世界の株式に分散されているワケですから、高い比率でオルカンを保有し続けながら少しずつ取り崩して老後資金に充てるのは理にかなっています。

 また、資産を自分の代だけで使い果たすのではなく次の世代へ伝えていくという視点で見ても、リスク資産の比率を落とさないことには意味があります。なぜなら、リスク資産の中でも特に株式は投資期間が長くなればなるほどリターンも高くなるからです。


 今回は年を取ったら株式の比率を減らすのは正しい戦略なのかについてお伝えしました。ではまた!

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