こんばんは。ヤギ仙人です。今回は「投資と投機はどう違うのか?」についてです。世間一般では、この2つを区別するのはとても難しいとされていますが別にそんなことはありません。最大の問題は、この2つを混同してしまう人が得てして市場から退場する羽目になる、という部分です。そうならないためにも、私見を交えてかなり嚙み砕いて説明しますのでよく吟味して頂ければと思います。
投資と投機の方向性の違い
一般的に「投資」と「投機」に該当するものは以下のイメージだと思います。
- 投資 → 株式(長期)、投資信託、債券、不動産
- 投機 → 株式(短期)、先物取引、FX、CFD
「価値の変化」に着目するのが投資、「価格の変動」に対応するのが投機、というイメージでしょうか。従って、株式を扱う場合でも、デイトレードは「価格の変動」に対応しているため投機に当たります。期待値で比べると、投資は長期で対象の価値が向上するので「プラス」、投機は「ゼロサムゲーム」と言われますが手数料がかかる分「ゼロまたはマイナス」ということになります。これらを表にすると以下のようになります。

例えばFXの場合、取引手数料は無料のところが多いものの、スプレッド(通貨の売値と買値の差)があるために期待値は本来ややマイナスになります。存在したとしても大変薄い利益の可能性を増やすためにレバレッジをかけた利幅の薄い取引を繰り返すことになります。まさに投機のイメージそのままですね。しかし、これでは通貨の動きが逆に振れた場合のリスクが非常に大きくなります。
昔から、世の「投機家」と言われる人たちが大儲けと破産を繰り返す背景には、投機のこのような「本質的な不安定さ」が原因として存在するのです。
投資と投機を分ける基準は?
では、投資と投機を区別する基準はなんなのでしょうか? それは、

です。株式とFXに資金を投下する場合で考えてみましょう。まずは株式の場合です。

株式の場合、投資家が投下した資金は企業に資本として追加されます。企業は追加された資本を元手に事業を遂行することで利益を産み出す、つまり「価値の創造」を行っていることになります。
これに対してFXの場合、為替の変動というのはあくまで相対的なもので、価値の向上を伴うものではありません。このような「価値の向上の有無」と「資金を投下する時間」で概念図を作ると、投資と投機の区別をより明確にすることが出来ます。

要するに、「価値の向上が見込める対象に長期で資金を投下する」というのが投資の定義ということになります。また、投資には社会にとって有益な事業に資金を還流させる、という働きもあります。それに対して、投機の定義は「価格の変動を利用して短期の値ざや稼ぎを狙う」になります。存在意義を否定するつもりはありませんが、独特の勘やテクニックが必要で投資の初級・中級者にははっきり言っておすすめ出来ません。
実は今回の投資と投機の例にあげていないジャンルがあります。それは「金」と「暗号資産(仮想通貨)」です。
金と暗号資産は投資か投機か?
この2つの解釈によって、投資と投機の区別がやや複雑化している部分があるように感じます。結論から言うと、「金は投資と言えるが、暗号資産は投資かどうか検証中の状態」になると思います。
金は古来 通貨として使用され、金を通貨の基準とする金本位制は20世紀後半まで続いていました。その一方で、金を保有していても価値の創造もなければ配当もありません。それでは、金の価値の向上は何に起因するのか? それは「希少性の高進」です。よく「有事の金」と言われるように、国際紛争や経済的な混乱が起きると必ず金が買われました。それは金の持つ希少性が改めて注目されるからです。そのため、30年平均リターンは7.9%と新興国株式のリターン(7.2%)を上回っています。この様な投資と呼ぶために必要な対象の「価値の向上」を図に表すと以下のようになります。

さて、問題の「暗号資産」についてです。ビットコインを例に考えて行きましょう。ビットコインに使用されているブロックチェーンという技術は優れた技術ではありますが、ビットコインも金と同様、それ自体で価値の創造や配当を行うわけではありません。ビットコインの価値の向上もやはり「希少性の高進」によるところが大きいと判断するのが妥当だと思います。歴史が浅いため5年平均しか出せませんが、平均リターンは57.0%(2024年7月現在)という驚異的な数値です。ここまでは投資と判断できる条件を満たしていると言って良いかもしれません。
ただ、いかんせん歴史が浅いため、平均リターンがこのままプラスであるのかは誰にもわかりません。金融商品としても、米証券取引委員会がビットコインのETF(上場投資信託)を2024年1月に初めて承認したところであり、世界的に見れば税制も含めて金融商品として確立する途上にある、というのが妥当な見方です。「暗号資産は投資かどうか検証中の状態」というのはこういう意味です。
なお、私見ですが「希少性」という視点で考えた時に最も有利な立場にあるのがビットコインです。なぜなら、ビットコインには2,100万枚という上限が設けられていますが、ほかの暗号資産には上限がないからです。これがどんな差になって現れるかは神のみぞ知る、というところでしょうか。