こんばんは、ヤギ仙人です。前回のブログで「自分の得意な運用スタイル」を見つけよう、という話をしました。では実際、投資の成功者たちはどんな運用スタイルで勝ってきたのでしょうか? 今回は大金持ちから小金持ちまで様々な運用スタイルを紹介しながら、投資に勝つためには何が重要かを考えていきましょう。
投資家には様々な勝ち方がある

まずは世界3大投資家から。3大投資家とは、ウォーレン・バフェット氏、ジム・ロジャーズ氏、ジョージ・ソロス氏です。ロジャーズさんとソロスさんはヘッジファンドのはしりである「クォンタム・ファンド」を共に立ち上げた元同僚です。
3人の中で最も有名なのは「投資の神様」とも言われるウォーレン・バフェット氏(1930年8月30日-)です。彼の運用スタイルは元々 株価が企業価値を下回る株式を買うバリュー株投資でした。それが後述するフィリップ・フィッシャーの影響で現在は成長株への集中投資に変わっています。その集中度合は凄まじく、現在彼のポートフォリオの半分近くをアップル株が占めています。
蝶ネクタイでおなじみのジム・ロジャーズ氏(1942年10月9日-)は通称「冒険投資家」。上記のクォンタム・ファンドは10年間で3365%のリターンを上げています。彼の運用スタイルは、国際情勢、マクロ経済、社会のトレンド等を徹底的に分析して、株式・通貨・商品の売り・買いのポジションを機動的に取る手法を得意としていました。相棒のジョージ・ソロス氏(1930年8月12日-)は通称「イングランド銀行を潰した男」。彼の運用スタイルを世に示したのは、1992年の英ポンド危機。ポンドの暴落を予見し100億㌦規模の空売りを仕掛けたのです。ポンドは暴落。ソロス氏は10~20億㌦の利益を手に入れ、イングランド銀行は破綻寸前まで追い込まれました。
次に、結果を出したファンド・マネージャーはどの様な運用スタイルを取っていたのでしょうか? フィリップ・フィッシャー氏(1907年-2004年)はバフェットさんに影響を与えた人物で「成長株投資の父」と言われ、成長株の長期保有を旨としていました。実際、ダウ・ケミカルやモトローラを何十年も保有し、何十倍、何百倍という大きなパフォーマンスを実現しました。ジョン・テンプルトン氏(1912年-2008年)は「20世紀の最も偉大な投資家」と評されます。彼は1939年の第2次世界大戦勃発時、1㌦以下の米国株をすべて100㌦ずつ買うという奇妙な買い注文を出しました。その株は大戦後の米国の産業復興で大幅に回復し4倍以上になりました。その反面、飛行機のファーストクラスに乗らないなど質素な生活を営んでいたそうです。ピーター・リンチ氏(1944年1月19日-)はマゼラン・ファンドのファンド・マネージャーとして、13年間で平均29.2%という驚異的なリターンを達成しました。彼の運用スタイルは、成長性の高い中小型株の多銘柄投資でマゼラン・ファンドは一時約1700銘柄を保有するほどだったと言います。
そして、20世紀初頭の米国の相場師たちはどんな運用スタイルだったのでしょうか? ジェシー・リバモア氏(1877年-1940年)は、信用取引の中でも株式の空売りを得意としていました。生涯で4度の破産を経験しながら、1929年の世界恐慌時の空売りで大儲け。しかし、最期はうつ病でピストル自殺しました。ウィリアム・ギャン氏(1878年-1955年)は、アナログ全盛の時代に英米の博物館で700年前からの物価の推移と1820年代以降の証券取引の記録を丹念に調査。現在のテクニカル分析の元となる株価の分析手法を開発しました。これを使用することで、生涯で現在の価値にして50億㌦の利益を獲得しました。
これ以外にも、「こびと株.com」を主宰するシーウィードさんは高配当株投資の専門家ですし、テレビでおなじみの「桐谷さん」こと桐谷広人さんは株主優待株への長期投資が身上です。これに不動産投資家や暗号資産やFXのトレーダーを加えると「投資での勝ち方=勝つための方法」というのはまさに千差万別です。ただ、不思議なのはスポーツのような他のジャンルでは、ここまで多様な勝ち方は存在しないということです。
プロの方が有利とは限らない
例えば、サッカーやゴルフでは勝負に勝つための方法は限られています。

競技を知っている人ならごく当たり前のポイントです。サッカーやゴルフでは勝つための方法が決まっているのに、なぜ投資の世界ではこれほど多様な勝ち方が存在するのでしょうか? なかなか難しい問題ですが、考えられる理由は以下の2点です。
- 投資対象が多岐にわたるから
- プロとアマチュアが同じ土俵で戦っているから
投資対象が多岐にわたり、戦場が広い状態なら、必ずしもセオリー通りには行かない所謂「マギレ」が発生しやすくなる。要するに、アマチュアが固有の方法でプロを出し抜く「番狂わせ」が起こりえる、ということになります。
実はこの「投資の世界では、アマチュアに比べて必ずしもプロが有利ではない」ということは、以前からしばしば話題になっていました。その理由としては、
- アマチュアは毎日市場に参加しなくてよい
- アマチュアには会社の規則や上司への報告がない
という点が挙げられています。確かに金融機関のトレーダーやファンド・マネージャーは、組織に所属している以上 ルールや制約の中で取引しなければならず、必ずしも有利とは言えないようです。前述のピーター・リンチ氏も彼の著作の中で以下のように書いています。
「ファンドマネージャーが、社会通念や政治的配慮を無視して掘り出し物を買おうと決めても、労働組合のある企業の株への投資を禁止したり、成長の望めない業種や特定産業への投資を制限するなどの規則や規定にひっかかって、あきらめることもある。」(「ピーター・リンチの株で勝つ」ダイヤモンド社)
大事なのは自分の勝ちパターンをつかむこと
投資で成功するために、プロやアマチュアという自分が置かれた立場よりも大事なことは、自分の勝ちパターンをつかむことです。自分の勝ちパターンとは、以下の3つです。
- 運用スタイル
- 得意とする市場
- 絶対にやらないこと
前述のウォーレン・バフェット氏に当てはめて説明しましょう。彼の場合、①運用スタイルは、現在は「成長株への集中投資」、②得意とする市場は、言わずもがなの「米国市場」です。そして、絶対にやらないことは、「投機目的の取引」です。元々バリュー投資家のバフェット氏は、株式の本質的価値を重視してギャンブル的な投機を一切行いません。今年2月の「株主への手紙」でも、以下のように述べて市場の投機的な動きに警鐘を鳴らしています。
「私が若い頃とは比べものにならないほど市場はカジノ的な振る舞いを見せる。カジノは多くの家庭に浸透し、人々を日々誘惑している。」(2024年2月25日 日経新聞電子版より)
この「絶対にやらないこと」が意外と重要で、自分の運用スタイルを強化し、ひいては思わぬ失敗で資産を失うことから自分を守ってくれるのです。そして、「絶対にやらないこと」は好き嫌いで決めてもらって構いません。なぜなら、個人投資家にとって投資は仕事ではないから。それが個人投資家の強みであり、プロの投資家を上回る可能性の源泉でもあるのです。
今回は、投資家それぞれの勝ち方についてのエピソードから投資で勝つためには何が重要かをお話ししました。興味があればまたお立ち寄り下さい。ではまた!