騰落に合わせた売買は可能か?

 こんばんは、ヤギ仙人です。最近の米国株はやや軟調ですが、相場には騰落が付き物です。「安い所で買って、高い所で売る」というのはすべての投資家の理想ですが、これが実に難しい。果たしてどこまで理想的な売買が出来るのか? 今回は相場の騰落に合わせた売買はどこまで可能なのかを考えてみたいと思います。

「スイングトレード」というテクニック

 そこで参考になるのが「スイングトレード」という短期投資のテクニックです。

「スイングトレード」とは?

・数日から数週間で取引を完了させる短期投資手法

・相場の谷で買って山で売る取引を繰り返すことで利益を上げる

 イメージでいうと以下の図のようになります。

 「なんだ出来るじゃん」と思ったあなた、事はそう簡単ではありません。このスイングトレード、あくまで株価の大きなトレンドが定まっている中で短期の利ざやを狙いに行く手法であって、中長期の投資で実現するのは難しいのです。一体なぜなのでしょうか?

なぜ中長期でスイングトレードが出来ないか?

 投資経験が長い人ほど、これが口で言うほど簡単ではないことが身に染みてわかっていると思います。出来ない理由をひと言でいうと「相場の底や天井は誰にもわからないから」ということに尽きます。筆者も20年以上投資を続けていて何度か相場の底や天井を経験しましたが、そのタイミングで売買するのは難しいと実感しています。というのは、

そのタイミングでの売買が難しい理由
  • 相場の底  投資家全員が総悲観で「こんな時に株なんて買う奴は馬鹿だ」という状況になる
  • 相場の天井 投資に関わる人間がすべて強気で、とても株を売る雰囲気にはならない

 相場の天井を表すエピソードとしては、「ウォール街の靴磨きの少年」の話が有名です。

「1929年の大暴落の3か月前、ジョン・F・ケネディ大統領の父で大物相場師だったジョセフ・P・ケネディ氏がウォール街で靴磨きをしている時、靴磨きの少年にこう尋ねました。『相場はどうかね?』すると少年はこう答えました。『上がってるよ。おじさんも石油や鉄道を買ったほうがいい。天井知らずだからね。』これを聞いたケネディ氏は、普段取引をしない靴磨きの少年までが相場の話をすることに驚き、保有していた株をすべて売却して大暴落を免れたと言います。」

 これはジョセフ・P・ケネディ氏の相場師としての勘が優れていたから対応出来ただけで、多くの投資家は大暴落に対してまったくの無力でした。では、プロの投資家でさえわからないものに対して、私たち個人投資家はどのように対処すべきなのでしょうか?

「キャッシュポジションを増やす」ということ

 相場の騰落の判断で最も難しいのが天井の見極めです。実は、天井が近くなった時にベテランの投資家の多くが取る戦術に「キャッシュポジションを増やす」というものがあります。天井が近くなったと感じたら、下の図のようにリスク資産の一部を売却してキャッシュの割合を増やしておくのです。

 こうすることで、株価が高い時に売却し、株価が下落したら増やしたキャッシュで買い出動することが出来ます。何より楽なのは、株価の天井をそれほど正確に予測する必要がないことです。天井が近いと感じたら、利益が出ているものから売っていく。天井を点ではなくゾーンとして捉えることで、心理的なプレッシャーが少なくて済むのです。恐らく、相場の騰落に対して個人投資家が出来ることはこれが限界ではないかと思います。

 もし、相場の騰落をまったく気にしたくないということであれば、インデックス運用の積立で長期投資を行って下さい。これは上記の戦術よりもさらに心理的なプレッシャーが少ない戦略です。株価が高かろうが安かろうが愚直に積立を続けて行く。結局、投資というものは突き詰めて行くと長期投資に集約されるということでしょうか。ではまた!

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