こんばんは、ヤギ仙人です。新NISAがスタートしてちょうど1年が経ちましたが、昨年の大晦日に驚くべき記事が配信されました。なんと新NISAが開始して1年弱で、投資された金額の半分が解約されたというのです。一体なぜこんなことになってしまったんでしょうか? 今回はその理由を探ります。
購入額26兆円のうち13兆7,000万円が解約される
事の起こりは昨年の大晦日。日経新聞電子版の会員限定で以下の記事が配信されました。
NISA最大の敵は「売る誘惑」 長期保有へ資産配分点検
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD2314S0T21C24A2000000/
記事によると、昨年1月から11月までに新NISAで購入された投資信託26億円のうち、半分を超える13兆7,000億円が解約されたとのこと。取材を受けた投資助言会社イボットソン・アソシエイツ・ジャパンの小松原宰明氏も「わずか1年弱で半分も売られては、長期で資産形成を支援する投信の仕組みが生かされていないことになり残念だ」と心配している状態。
記事の中では、投資を中断することの悪影響を株価指数「MSCI オールカントリー・ワールド・インデックス」を例に説明。1987年末の算出開始から昨年の11月までで本来約25倍に増えた資産が、37年間のうち上昇率が高い20の月だけ投資を中断することで上昇率が3.5倍にまで急減することを検証しています(下図 グリーンのグラフ)。
これそこそがチャールズ・エリスが自著「敗者のゲーム」(日本経済新聞出版)でいう「稲妻が輝く瞬間に市場に居合わせばければならない」ということなのです。ではなぜ、購入額の半分以上が解約されるという事態に陥ってしまったのでしょうか?
なぜ半分以上が解約されたのか?
理由は2つあると考えられます。
1つ目の理由は、昨年8月5日の日経平均の大暴落です。4,451円安と1日の下げ幅としては1987年10月のアメリカのブラックマンデー翌日の下げ幅を超え過去最大となりました。多くの投資家は日経平均に連動する金融商品には投資していませんでしたが、足元の日本株の暴落を目の当たりにして関係のない商品まで狼狽売りしたということではないかと思います。
2つ目の理由は、インデックス投資の本質を理解していないということです。インデックス投資の本質とは、株価が高い時も安い時もとにかく愚直に積立を続けるということに尽きます。それがドル・コスト平均法により、平均取得単価を安定させ買い入れのリスクを下げることにつながるのです。株価が暴落したから売却するというのは、やってはいけないことの1つです。
理由を分析してみると、日本ではまだまだ投資というものが正しく理解されていないことを実感します。新NISAは制度としては大変メリットのある制度です。今後も正しく利用出来るよう情報発信して行こうと思います。ではまた!