日本の富裕層ってどんな人たち?

 こんばんは、ヤギ仙人です。少し前になりますが野村総研から「日本の富裕層」に関する最新の調査結果が発表されていました。このところの米国株の調整等で触れられていませんでしたが、とても示唆に富んだ調査です。今回は調査結果の経年変化と「日本の富裕層」とはどんな人たちかについて考えてみたいと思います。

最新の調査が示す「日本の富裕層」

定量的な調査

 調査の対象年は2023年。前回調査が2021年ですから2年ぶりになります。世帯として保有する金融資産の合計額から負債を差し引いた「純金融資産保有額」を基に、日本の総世帯を5つの階層に分類し、それぞれの世帯数と資産保有額を推計した結果が左の図になります。

 2021年からの変化を端的にまとめると、

・富裕層と超富裕層の世帯数の合計は、148.5万世帯→165.3万世帯と11.3%増加

・富裕層と超富裕層の資産の合計は、364兆円→469兆円と28.8%増加

ということになります。世帯数・資産額ともに増加した理由は、株式や投資信託等の資産価値の上昇です。これによって準富裕層が富裕層に繰り上がって世帯数が増えた上に、元々の富裕層以上の人たちの資産も増加した、ということのようです。まさに「金持ちはどんどん金持ちになる」の典型ですね。

 では、そんな「日本の富裕層」いったいどんな人たちなんでしょうか? 定性的な調査の結果も見てみましょう。

定性的な調査

 デロイトジャパンとは、監査を中心に経営支援サービスを提供するデロイト トーマツ グループのこと。昨年2024年5月に全国の世帯年収2,000万円以上の男女1,821人を対象に実施した調査の結果です。いろいろ分析していますが以下の図1がこの調査を象徴しているように思います。

 富裕層の価値観を一般消費者のそれと比較しているのですが、どうも明確な違いがないように見えます。しいて自分なりにまとめると以下のようになります。

・最も大事にしている価値観は富裕層と一般消費者で変わらない

・2番目以降は可処分所得が多いか少ないかで説明できてしまう

・調査結果を見ただけでは両者の価値観に有意な違いは見当たらない

 2つの調査から分かったことを敢えて言うと、「日本の富裕層」と私たち一般人との価値観の違いはあまりなく、あるのはお金を持っているかどうかの違いだけ、ということになります。これはいったい何故なのでしょうか?

「日本の富裕層」のスケールが小さい理由

 こういう場合は国際比較してみると話がわかりやすくなります。

 これは調査会社Altrataの世界の超富裕層の調査です。この調査では、純金融資産が3,000万ドル(約44億円)を超える層を超富裕層と定義しています。上位4カ国はGDPの順なのでわかりやすいですね。問題はその差。1位の米国は人数で日本の8.7倍、総資産額では10.6倍と圧倒的です。米国と比べると、日本の富裕層が「小つぶ」であることがわかります。

 

 スポーツ選手の年俸を見ても日米の差は一目瞭然ですね。今シーズンの日本のプロ野球の最高年俸がヤクルトの村上宗隆選手の6億円であるのに対し、米国MLBの今期最高年俸は大谷翔平選手の7,000万ドル(約105億円)です。

 「アメリカンドリーム」の名の下に貧富の差を容認してきた米国と「一億総中流化」で皆が一斉に豊かになった日本。日本の富裕層が私たち一般人とあまり変わらない価値観を持つ背景には、両国の経済的な成り立ちが関係しているのかもしれません。

 今回は「日本の富裕層」がどんな人たちかについて考えてみました。ちょっと頑張れば準富裕層ぐらいにはなれそうな気がしてきましたね。ではまた!

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