投資の名著「ほったらかし投資術」

 こんばんは、ヤギ仙人です。相場環境は米国株を中心にやや落ち着いてきた感があります。こういう時は自分の投資に関する知見を見直して、自信を持って次の投資に向かえるようにしたいものです。そこで今回は「投資の名著」シリーズの1回目として以下の本を取り上げたいと思います。

一体どんな本なのか?

「全面改訂 第3版 ほったらかし投資術」(朝日新聞出版)

 山崎 元・水瀬ケンイチ 著

投資初心者がまず最初に読むべき本

 今回紹介するのは「全面改訂 第3版 ほったらかし投資術」(朝日新聞出版)です。投資初心者に「投資を始めるに当たって、まず何を読むべきか?」と聞かれたら必ず答えるのがこの本です。「ほったらかし投資」とは、インデックス運用の積立投資のこと。この方法こそが投資の最適解であるとシンプルに言い切ってくれています。

『ほったらかし投資』は、『誰でもが』がほぼ最適なものとして使える資産運用方法です。資産数百億円の富裕層は、金融マンが『ほったらかして』おいてくれないのでややこしい運用をしているでしょうが、多分、本書の方法の方がずっといい。一方、運用金額数百万円のサラリーマンも方法は同じでいい。そして、若い人も、高齢者も、投資の初心者も、ベテランも、実は同じでいい。(本書「まえがき」より)

 この本の初版が出版されたのは2010年でした。当時、筆者はすでに投資歴は10年に及んでいましたが、投資法が定まらず儲けたり損したりを繰り返していました。そんな時にこの本を読み、何か暗いトンネルに光が差したように感じたのを今でも憶えています。

著者は二人ともインデックス投資の第一人者

 著者は山崎元さんと水瀬ケンイチさんです。

 山崎元さんは、1958年生まれで北海道出身の経済評論家。長い投資の実務経験を活かし、数々の投資関係の本を出版されています。最後は楽天証券の経済研究所客員研究員を務められていました。

 水瀬ケンイチさんは、1973年東京生まれ。都内IT企業勤務のかたわらインデックス投資ブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」を現在も執筆中です。

 二人とも早い段階からインデックス投資のメリットを説き、日本でのインデックス投資の普及に貢献した功労者です。特に山崎さんは、これ以降多くの著作を読ませていただき、筆者としては個人的に師と仰いできた方です。その山崎さんが昨年2024年1月に65歳で食道がんで亡くなられた時、その早すぎる死に愕然としました。これからもっと日本での正しい投資の知識の普及に貢献していただきたいと思っていた方ですので大変残念です。

この本のどこが素晴らしいか?

 この本のどこが素晴らしいかをひと言でいうと、「インデックス投資のキモ」を端的な言葉で言い表したことだと思います。投資には様々な手法があり、何が一番よいのかをバシッと言うのはなかなか難しいものなのです。本書の中で特に優れた点を挙げると•••

「ほったらかし投資」というコンセプト

 まず、コンセプトの明快さです。インデックス運用の積立投資を「ほったらかし投資」と名づけ、適切な投資対象を選んだら 後は愚直に積立を続けるだけ、と非常にシンプルです。それまで投資というものは、知識や経験が物を言う世界で専門家や証券会社の意見を拝聴して行うものであると信じられてきました。それが、投資の初心者でもこの本を読んで「ほったらかし投資」を実践すれば、明日から最適な投資を行うことが出来る。まさにコペルニクス的転換です。

 そして、投資の最大のストレスは相場の騰落を気にすることですが、インデックス運用の積立投資の場合は騰落を気にする必要がないことも良い点です。運用成績のチェックは月に1度で十分。投資のストレスがなくなる分、仕事や趣味に集中できるようになるのも「ほったらかし投資」のメリットと言えるでしょう。

投資の三原則「長期」「分散」「低コスト」

 次に、投資の三原則「長期」「分散」「低コスト」のわかりやすさです。インデックス運用の積立投資のコツを子供でもわかる単純さで言い表しています。お題目としての語呂もいい。この語呂がいいお題目を腹落ちするまで理解してもらう、というのが本書の狙いのようです。まるで機能を追求したらシンプルなデザインになった北欧家具みたいです。

 この「長期」「分散」「低コスト」の3つは、「投資の三原則」というだけあって、インデックス投資以外の投資手法にも当てはまります。何か新しい投資手法を提案された時に立ち返る基準として覚えておくと良いでしょう。

どんな人が読むべきか?

投資を始めたばかりの投資初心者

 これから投資を始める人、投資を始めたばかりの初心者には、まず最初に読む本としておススメ出来ます。投資を始めたばかりの頃は夢を追い過ぎる傾向がありますが、そういう人はどうすれば確実に資産が増えるのかを理論的裏付けとともに学ぶことが出来ます。特に新NISAをこれから始める人、昨年から始めた人は読んでおくと良いと思います。

経験はあるが一度基本に立ち返りたい人

 投資経験はあるが一度基本に立ち返りたい人、特に相場の騰落が気になって心をすり減らしている人にはうってつけだと思います。インデックス運用の積立投資が相場の良し悪しに関わらず愚直に続けていくべきものであることを知ることで、徐々に相場の騰落が気にならなくなると思います。

 気をつけなければならない点は、改訂のタイミングの関係で新NISAの詳しい仕組みまではフォローアップ出来ていないことです。制度が変更になる可能性もありますので、その部分はWebなどで確認することをお勧めします。

 今回は皆さんが投資をする上で読んでおくべき「投資の名著」についてお送りしました。今後も読むべき投資関係の書籍があれば紹介したいと思います。ではまた!

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