こんばんは、ヤギ仙人です。最近の暗号資産の動きはビットコインを中心に順調ですね。そのビットコインですが、以前のジェットコースターのような値動きが穏やかになり、金融商品としての性格が変わって来ているように思います。そこで今回は、ビットコインがどんな資産になりつつあるのかについて考察してみます。
ビットコインは安全資産なのか?
まずは今年4月末のブルームバーグのこの記事から。
<Bloomberg> ビットコインとイーサETFに32億ドル流入、新たな安全資産の期待も
記事の内容は「このところの米国株の回復を背景にビットコインとイーサリアムのETFに多額の資金が流入した」というもの。重要なのは以下の部分です。
「暗号資産の推進派はまた、トランプ大統領の関税政策により市場が混乱する中でも、ビットコインが株式市場よりも相対的に底堅かった点に注目している。S&P500種が年初来で約6%下落する一方、ビットコインは年初来横ばいにとどまっており、最高値を相次ぎ更新している金のように、新たな安全資産としての役割を担うとの期待が再び高まっている。」
試しにここ半年のビットコインとS&P500のグラフを比べてみると以下のようになります。青がビットコイン、赤がS&P500です。

比べてみると、ビットコインは記事でいうほど「横ばい」ではありません。それよりむしろ矢印の部分のようにS&P500が下落する時に逆の方向に動くことがここ最近増えて来たように感じます。では、記事の中にあるように「安全資産としての役割」は担えているんでしょうか? ここで「安全資産」と「リスク資産」の意味を改めて確認してみましょう。
安全資産 | 預金、国債、金など、元本割れのリスクが少なく値動きが安定している資産のこと。 |
リスク資産 | 株式、投資信託、社債など、元本が保証されず価格が変動する可能性のある資産のこと。 |
文字通りにとらえると、現状のビットコインは安全資産の役割を担えているとは言いづらく、むしろリスク資産の性格が強いと思います。では、今のビットコインはどのような資産として捉えればよいのでしょうか?
今のビットコインはどんな資産か?
<CoinDesk> ビットコインは低ベータ資産へと進化する:ブラックロックのデジタル資産部門責任者
英文を和訳した記事の特徴で少々わかりにくい言い回しがありますが、記事の内容は「ブラックロックのデジタル資産部門責任者は、ビットコインが長い目で見て低ベータ資産として進化する可能性があると指摘している」というものです。はい、わからない言葉が出てきましたね。「低ベータ資産」ってどんな意味でしょうか?
低ベータ資産とは、市場全体の動きと相関が少ないか逆の動きをする資産のこと。
ポートフォリオに組み込むメリットは、
① 投資資金全体の変動リスクを抑えられる
② 安定した高いリターンを期待できる
要するに、米国株メインで運用している投資家がポートフォリオにビットコインを加えることで、よりリスクを抑えられ、より高いリターンを狙える可能性がある、ということです。従って、最初の疑問に対する答えとしては「ビットコインは安全資産ではないけれども、低ベータ資産になりつつある」ということになるかと思います。
では、これによって何が変わるのか? それはビットコインの資産配分です。以前のブログ「新しい商品は値動きが激しい」でビットコインの配分比率を「5%までは許容範囲」であるとお伝えしました。もし上記のような低ベータ資産に変わる場合は「10%まで比率を上げられる」と考えます。しかし、変化は始まったばかりですので慎重な見極めが必要だと思います。
今回は「ビットコインは今どんな資産なのか?」を考察しました。新しい商品は日々その評価と位置付けが変わって面白いですね。今後も何か動きがあれば取り上げてみたいと思います。ではまた!