こんばんは、ヤギ仙人です🐐。株式投資は買う時よりも売る時の方が難しい。様々な投資手法の中でも特に難しいのが「成長株投資の売り時」です。今回は筆者自身の大失敗を元に、この難しいテーマについて取り上げます。
まだ傷もいえない決定的な失敗
考えるきっかけは筆者自身が決定的な「売り時の失敗」をしたからです。銘柄は米半導体設計ソフトのシノプシス(SNPS)。会社の計画通りに事業が進まない可能性を感じて全株売却を考えていました。
ちょうど9月9日(日本時間の9月10日)に第3四半期の決算発表が予定されており、折角ならそれを確認してから売ろうと思い、決算発表を待ってしまったのが仇になりました。

第3四半期の決算は売上高、1株利益とも予想を下回り、1株利益については通期でも市場予想を大幅に下回る見通しを示したことで株価は急落。それまで+40%の評価益だったものが、たった1日で-10%の評価損に成り下がりました💦
結局、シノプシスは現在も売却できていません。今回の売却失敗の一体どこがいけなかったのでしょうか?
フィッシャー先生に学ぶ「成長株の売り時」
そういう時は株式投資の先人に学ぶのが一番です。

成長株投資といえば米国の投資家フィリップ・フィッシャー先生(1907-2004)です。あの「投資の神様」ことウォーレン・バフェット氏の成長株投資の師匠で、フィッシャー先生の教えがなければバフェット氏はあれだけの莫大な資産を築くことは出来なかっただろう、と言われています。

そんなフィッシャー先生の著作は『フィッシャーの「超」成長株投資ー普通株で普通でない利益を得るために』(フォレスト出版)という邦題で翻訳されていて、成長株投資についてかなりマニアックで示唆に富んだ指摘をしてくれています。その中で「成長株の売り時」は以下の3つであるとしています。
❶ 投資対象を選ぶ段階で判断が誤っていたことが明らかになった場合
❷ 時間の経過とともに投資対象を選んだ理由を満たさなくなった場合
❸ 現在所有している株を売ってもっと有望な成長株に乗り換える場合
フィッシャー先生は、自分が考える成長株の「選択基準」を厳格に設定し、それを満たさない場合が成長株の売り時だと仰いました。特に❷の「時間の経過とともに投資対象を選んだ理由を満たさなくなった場合」の売却タイミングについては、著書の中で以下のように強く戒めています。
「株式市場全体がどれだけ好調でも、売却益にかかる税金がどれだけ大きかろうと、その企業の株は、すべてただちに売ってしまうべきです。」(『フィッシャーの「超」成長株投資ー普通株で普通でない利益を得るために』より)
今回のシノプシスについてはまさにこれに当たるワケで、決算発表を待たずにとっとと売却するべきでした。
それ以前に途中で売りたくなる株を買うな!?
しかし、彼の本をよく読むと「成長株の売り時」について、それが本音だと思えない節があります。特に❸の「現在所有している株を売ってもっと有望な成長株に乗り換える場合」。本の構成上必要だから無理矢理3つにしたように感じます。
なぜなら、フィッシャー先生は偏執的とも言える厳格な選択基準によって購入する銘柄を選んでいたからです。彼の本音は著書の中のこんな文章から感じ取ることが出来ます。
「しかるべき原則に則って株を選び、その選択の正しさが時とともに証明されてきたのだとすれば、それを売る正当な理由が出てくることは、ごく希にしかありません。」 (『フィッシャーの「超」成長株投資ー普通株で普通でない利益を得るために』より)
「ほんとうに大切なことは、ときが経つほど大きな価値を生み出してくれる株は決して売らない、ということなのです。」(同上)
実際、フィッシャー先生は化学メーカーのダウ・ケミカルや携帯電話のモトローラ、特殊ガラスのコーニングなどの銘柄を発掘し、何十年も保有することで投資額を何十倍、何百倍にも成長させました。特にモトローラについては、小さなラジオ製造業者だった頃に見出し、死ぬまで保有し続けたのは有名なエピソードです。
まさに「人生の伴侶」を選ぶようなフィッシャー先生の銘柄選択に比べて、筆者のシノプシスに関する選択は最初から甘かったと言わざるを得ません。
今回は「成長株の売り時」について説明しました。行きがかり上、フィリップ・フィッシャー先生の「成長株の選択基準」についてもどこかで取り上げたいと思います。ではまた!
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