AI革命で今後の株式市場ではどんな業種が注目されるのか?

 こんばんは、ヤギ仙人です🐐。最近の株式市場は完全にAI・半導体銘柄の動きに左右されています。ただ、注目される銘柄はその時々で変化します。AI革命が波及する各段階でどんな業種が注目されるのかを探りました。

破壊的なイノベーションは段階的に波及する

 米オープンAIが2022年11月30日にリリースした生成AI・ChatGPTは瞬く間に普及し、その後GeminiやClaude、DeepSeekなどの競合が参入。性能も短期間で飛躍的に向上し、今や会社の日常業務にも欠かせない存在になりました。今後、さらに社会に実装されることで生産性の大幅な向上が見込まれています。

 ハーバード・ビジネス・スクールの教授であった故クレイトン・クリステンセン氏は、既存の市場や業界構造を根底から覆して新たな価値や市場を作り出す革新を「破壊的イノベーション」と呼びました。生成AIはまさにそれに該当し、これから社会全体に影響を及ぼす様子は「AI革命」と呼ぶに相応しいのではないかと思います。

 「革命」と呼ばれるような巨大なイノベーションは、多くの場合 水面の波紋のように徐々に社会に広がっていくため、株式市場にも段階的な影響を及ぼします。あの産業革命も、18世紀後半から19世紀中頃まで100年近くかけて、紡績等の軽工業→石炭採掘等の鉱業の動力源→重工業→交通・物流 へといくつかの段階を経て波及して行きました。現在の普及の速さを考えると、AI革命は今後20年以内という恐るべきスピードで社会に波及する可能性が高いと思われます。

 その波及のプロセスの各段階で、株式市場にはどんな影響があるのでしょうか?

各段階で注目される可能性のある業種は?

 すでに発生している段階を含め、AI革命の波及の各段階でどんな業種が注目されるのか予想してみました。

段階受益者注目される業種
第1段階直接的な主体AIサービス提供者、AI半導体
第2段階素材の提供者メモリー、光ケーブル、半導体素材
第3段階その他必需品エネルギー、電力、空調設備
第4段階AIの組み込みIT・ソフトウェア、フィジカルAI
第5段階生産性の発現創薬、会計・金融、労働集約型産業

第1段階「直接的な主体」

 第1段階は「直接的な主体」が注目される段階です。直接的な主体とは、AIサービスの提供者AI半導体メーカーのことです。この段階は2023年1月からのエヌビディア株の上昇から始まりました。ただ、ハイパースケーラーと呼ばれるAIサービスの提供者は競争に打ち勝つために過剰投資になりやすい傾向があり、投資家の関心は次の段階に移って行きました。

第2段階「素材の提供者」

 第2段階は「素材の提供者」が注目される段階です。メモリー光ケーブル半導体素材などを提供する企業群のことです。この段階もすでに始まっており、2026年1月頃から注目されるようになりました。キオクシアホールディングの急騰が記憶に新しいところです(シャレじゃないです)。ゴールドラッシュになぞらえて「AIツルハシ銘柄」とも呼ばれています。

第3段階「その他必需品」

 第3段階は「その他必需品」が注目される段階です。生成AIに必須のデータセンターも作れば即稼働するワケではありません。それを動かすためのエネルギー電力が必要であり、かなりの熱が発生するために高性能な空調設備も欠かせません。この段階はまだ始まっておらず、今年の秋ぐらいから注目されるのではないかと思われます。

第4段階「AIの組み込み」

 第4段階は「AIの組み込み」が注目される段階です。AIも社会に実装されなければ生産性は上がりません。それを企業に導入するIT・ソフトウェア業界、またヒューマノイドへの実装という意味でフィジカルAIが注目されるでしょう。AIを活用したサイバーセキュリティも、地味ながら高度なネットワークを守る存在として忘れてはなりません。

第5段階「生産性の発現」

 第5段階は「生産性の発現」が注目される段階です。社会に実装されたAIが結果を出し始めます。AIの活用によって開発スピードが上がる創薬、生産性が飛躍的に向上する会計・金融業界、その他 労働集約型の産業すべてで生産性が向上します。この頃になると、逆にAIを使っていない会社の株価が劣後する状態になっていると想像できます。

生成AIのマイナスのインパクト

 当然、破壊的イノベーションにもプラスのインパクトだけでなくマイナスのインパクトも存在ます。

直接的な被害を受ける業種

❶ コールセンター、カスタマーサポート

❷ 翻訳、通訳、ローカライズ

❸ イラスト制作、Webライティング

 これら3つのカテゴリーでは直接的な被害が予想されます。どのカテゴリーも生成AIでの代替が比較的容易であり、取って代わられる可能性が極めて高いと思われます。逆に早い段階で積極的にAIへの代替を推し進めることで、より質の高いサービスを提供できる可能性もあります。

 考えてみれば、確かにこのブログのイラストも画像提供会社はもはやあまり使っておらず、そのほとんどを生成AIで作成しています。簡単な指示と挿入したい部分の文章を入力するだけで、文脈に沿った挿絵やイラストを作成してくれるので大変便利です。

大規模な雇用喪失は起きるのか?

 先日、ノーベル賞受賞者を含む200人超の研究者からAIによって「大規模な雇用喪失が起こるリスクがある」という声明が出されました。これに対する筆者の見解はそこまで悲観的ではありません。産業構造は技術革新の動向によって常に変化するもの。産業革命の時も、短期的には織物職人など特定の業種で激しい失業が発生しましたが、長期的にはそれを上回る新たな雇用が創出され、産業構造そのものが大きく変化しました。

 但し、給与水準は「AIを使いこなして指示を出す者」と「AIが出来ない現場仕事をこなす者」で差が開くことが容易に想像できます。なぜなら、「AIを使いこなして指示を出す者」は一定数必要で高い能力が求められるのに対し、「AIが出来ない現場仕事をこなす者」はフィジカルAIのコストダウンに伴って駆逐されてしまう可能性が高いからです。

 世の中が変わって技術が進歩しても、必要なのは「自分の頭で考える力」。昔も今も鍛えるべきところは何も変わっていないのです。


 今回はAI革命が株式市場にどう影響を及ぼすかを検討しました。筆者は経済評論家ではないので予測の正確性はあまり重視していません。重要なのはそういう考え方を身につけること。それが将来の投資のリターンを大きく左右します。ではまた!

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